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建物評価

 

建物の工事費をみる場合に、注意すべき点は次のとおりです。


①建物の一部であるもの
建築主の支給材料(木材・仕上材料など)、屋内の電気、ガス、水道、冷房・暖房各設備、造り付け家具


②建物から除外すべきもの
整地費・建物取壊費・樹木移転費、屋外の電気などの各引込費用、浄化槽、造園費、マンション購入費の中の土地代


民法第242条の前段では、「不動産の所有者は其不動産の従として之に附合したる物の所有権を取得す」とあり、建物と合体しこれを建物の本体から分離することが社会経済上不合理と判断されるものについては、「不動産の所有者は其不動産の従として之に附合したる物の所有権を取得す」と規定されていますが、借家人は民法第196条第2項および第608条第2項により有益費用償還請求権が認められます。具体例としては建物の構成部分である床板、天井、押入、内壁等の改装部分などがあります。

①定義
区分所有建物とは、1棟の建物の構造上区分された数個の部分が独立して住居、店舗、事務所または倉庫、その他建物としての用途に供することができ、これら各部分が所有権の目的となっている建物をいい、分譲マンションがその代表的な例です。


区分所有権の対象となる部分は「専有部分」と呼ばれ、通常の所有権と同様に各部分が独立の建物として取り扱われます。


一方、廊下、階段室等構造上他の区分所有者の全員またはその一部と共用する部分は「共用部分」と呼ばれ、各区分所有者の共有とされています(「建物の区分所有等に関する法律」(以下、「建物区分所有法」といいます。)第1条、第2条、第4条、第11条参照)。


②専有部分および共用部分の範囲
専有部分と共用部分の現界および範囲について、「建物区分所有法」には、具体的規定がなく、専ら各区分所有建物の管理規約で定められている場合が一般的ですが、基本的には、柱、耐力壁、外壁、基礎等建物全体を支える構造部分や隔壁等によって他の部分と区分されていない玄関ホール、廊下、階段室等については、法律上当然に共用部分とされます(建物区分所有法第1条、第4条第1項)。


イ専有部分の範囲
構造上、独立して住居、店舗、事務所等に使用されている部分およびこれに付属している電気、ガス、冷房・暖房設備等の付属物


ロ.共用部分の範囲
これには「建物区分所有法」に定められている法定共用部分と、マンション等の管理規約によって共用部分と定められた規約共用部分があります。


a.法定共用部分
(a)構造上区分所有者の全員またはその一部の共用に供される部分
例:共用の玄関、階段、廊下、電気室、機械室など
(b)建物の付属物のうち、専有部分に属さないもの
例:専有部分に属さない給排水設備、電気、ガス、冷房・暖房、空調設備、
エレベーター設備など


b.規約共用部分
(a)建物で規約により共用部分とされるもの
例:集会室、管理人室、倉庫、機械室など
(b)付属の建物で規約により共用部分とされるもの
例:物置、倉庫、車庫、自転車置場など
なお、具体的に専有部分と共用部分および専有部分相互間の境界の認定基準については、法律上、明確な規定がないため解釈に委ねられることになりますが、次の各説があります。

・壁、天井、床のすべてを共用部分とする説(内法基準説)
 
・壁真(心)と天井、床スラブの中心線までが専有部分であるとする説(壁真基準説)

・壁などの上塗部分までが専有部分で他は共用部分とする説(上塗基準説)


ただし、近年では、管理組合の規約に共用部分の境界について規定されていることが多くなっています。一般的には、上塗基準が多いと言われています。

 

保険契約引受上の取り扱い


区分所有建物の保険契約引受け方法としては、次の3つの方法が考えられます。


イ.管理者その他の者が、各区分所有者の委任により共用部分も含めて建物全体を一括して付保する方法
ロ各区分所有者が自己の専有部分だけを付保し、共用部分は、管理者その他の者が一括して付保する方法

借地借家法第33条では「建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。」としています。具体例としては、上記畳、建具のほかガス・電気・水道設備などがあり、これらは建物使用上の便宜を増すために施設されたものではありますが建物の構成部分に属することなく、施設した結果が建物の客観的価値を増加させ、これを建物から分離することが経済上不利なものとみなされます。

建物、躯体と建物付属設備の所有者が異なる場合のみ建物とは別に建物付属設備を分けて付保する意味があります。


一般的に建物付属設備には、畳、建具、造り付け家具、給排水設備、照明、看板などがあげられます。


借家人を被保険者とする建物付属設備の契約の評価にあたっては、その所有権の範囲をよく確かめ、明確でない場合には賃貸借契約書を参考として、保険の対象の範囲を明確にし、それに対応する適正な評価をする必要があります。


①法律的には、建物付属設備は次の3つに分類されます。


イ 付加物
ロ 付合物
ハ 付属物

民法第242条のただし書には「但し権原に因りて其物を附属せしめたる他人の権利を妨げず」とあり、権原(使用権ないし借用権)によって建物に付属したもので建物本体から分離しても建物全体に影響を及ぼさないものについては、借家人は民法第598条の収去権をもちます。具体例としてはTVアンテナ、日覆、看板などがあります。


②建物の所有者が建物を保険の対象として契約した場合には、被保険者の所有する畳、建具、その他の従物および電気、ガス、冷房・暖房設備、その他の付属設備は、特別の約定がないかぎり保険の対象に含まれます。


③一方、借家人が家主の同意を得て付加した建物付属設備(付加物、借地借家法第33条)、または権原に基づいて付属させたもので家主の所有に属さない建物付属設備(付属物、民法第242条ただし書)については、借家人に所有権がありますので、それらを保険の対象として借家人自身が被保険者となり、保険契約することが可能です。



④ところが、たとえ借家人が権原に基づいて行なったとはいえ、床の張り替え、壁の塗り替え等の場合のように、それが建物の構成部分となって建物と合体したときは、付合物となり家主にその所有権が帰属することとなります(民法第242条「不動産の付合」)。この場合、借家人は家主に対して有益費用償還請求権という債権を有するに止まります。

建物を評価するにあたっては、その建物の構造・用途・面積および基礎工事を含むか否かなど保険の対象の範囲を明確にし、その上でそれに対応する評価額を算出することが必要です。以下その趣旨から建物の範囲について、必要な事項を掲げます。


①一つの建物
一つの建物とは、建物の主要構造部のうち、外壁、柱および屋根のいずれをも独立し
て具備したものをいいます。


②門、塀、物置、車庫など
門、塀、垣、物置、車庫、その他の付属建物については約款により異なります。

建物とは一般に土地に定着して建設され、屋根を有し住居、販売、作業、貯蔵等のように供される構築物をいい、地価に設けられた事務所、店舗、倉庫等のほか、これに類する施設も含むものとされています。

建物の種類および等級は、通常その用途種別、構造種別、仕様種別の3要素によって決定されますが、実在する建物の種類は、これらの要素の組合わせにより多種多様にわたっています。


(注)仕様種別とは、建物の使用材料、仕上程度および建物付属設備の程度による類別をいいます。
次に、主な建物の分類を掲げると次のとおりです。


①用途種別による分類


専用住宅、併用住宅、共同住宅、ホテル・旅館、料亭、事務所、専用店舗、スーパーマーケット・百貨店、公衆浴場、病院、劇場・映画館、工場、倉庫、発電
所・変電所、その他


②構造種別による分類


木造、土蔵造、煉瓦造、石造、プレハブ造、コンクリートブロック造、鉄骨造(軽量鉄骨造を含む)、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
なお、火災保険では、用途により適用する普通保険約款が異なり、構造種別をもとに料率が定められています。

原価方式では新価額(再調達価額)から経年減価額を控除して時価を求めることとなりますが、個々の建物は維持管理の状況がまちまちであることから、その実情を考慮して時価を判断する必要があります。


建物外部の修理などが行われ普通の維持管理の状況にあると認められる建物のほか、これらの修理以外にも修理が行われるなど耐用年数の延長に寄与していると判断できる十分な維持管理の状況にある建物の場合には、定額法による残価率が新価額(再調達価額)の50%以下になったものでも、その実情により現在価額を新価額(再調達価額)の50%程度あるものとみることができます。また、このような維持管理がなされていない建物の場合には、その程度に応じ最終残価率は新価額(再調達価額)の20%まで勘案します。

(注)維持管理の程度、修理部位およびその範囲の広さ等を当該建物の置かれている立地条件、使用状況に応じて個別に勘案し、最終残価率を判断するものとします。
なお、定額法による残価率は次の計算方法によって求められます。


残価率=100%一減価率

建物評価の考え

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1.評価の方法

(1)評価の方法(原価方式(復成式評価法)による評価)

(2)基礎工事

(3)建物付属設備

2.再調達価額の評価

原価方式(復成式評価法)により新価額(再調達価額)を算出するには、一般的に、次
のような方法があります。

(1)新築時点での建築価格が判現していない場合

(2)建物新築時における建築価格が判明している場合

3..経年減価額の算出

建物は、新築後使用による損耗および時の経過に伴う自然劣化等によって年々価額が減少していくものです。
これを新築後の経過年数に応じて計算したものが経年減価額です。本書においては、この経年減価額算出にあたっては定額法により求めることとし、新価額(再調達価額)に評価時点における減価率を乗じて算出します。
これを算式で表すと次のとおりです。
経年減価額=新価額(再調達価額)×減価率


(1)減価率の算出

(2)残価率の修正

4.建物の定藏および分類

(1)建物の定義

(2)建物の分類

(3)建物の範囲

(4)建物付属設備

1.付加物

2.付合物

(5)工事費の分類

(6)区分所有建物 

 

 

(1)評価の方法(原価方式(復成式評価法)による評価)


原価方式(復成式評価法)は、保険の目的である建物と同一の構造、用途、質、規模の建物を現時点で新築するのに要する費用(新価額(再調達価額))を算出するもので、時価額を評価する場合はそれから使用損耗および年代などに応ずる減価額を控除して評価する方法です。
これを算式で示すと、下記のとおりとなります。


                                  (注)
時価額=新価額(再調達価額)一経年減価額

(注)新価額(再調達価額)には設計監理費も含まれます。
経年減価額の算出方法を定額法により説明することとします。

電気、通信、ガス、給排水、衛生、消火、冷房・暖房、エレベーター、リフト等の建物付属設備は、基本的には建物を構成する一要素であり、建物の一部として評価されますが、最近の建物の大型化に伴い、必要に応じて建物本体と分けて評価することが大切です。


特に、耐火造の病院、ホテル、劇場等の特殊建物にあっては、その建物付属設備費割合が総工事費に対し相当の割合に達するものもありますので、評価に際しては、坪単価で計算するのではなく資料を取り寄せたうえ計算することが望ましいと言えます。

(2)基礎工事


保険契約において建物の評価は、契約者の選択により基礎工事費を除外する場合と火災などにより基礎部分に何らかの被害が及ぶとの考えから含める場合があります。

(1)新築時点での建築価格が判現していない場合


評価対象物件について、使用材料の種別、等級、数量および所要労働時間等を積算し、それぞれの単価に材料量および労働量を乗じて当該物件全体の工事原価を求め、これに付帯経費、運搬費を加算して算出するのが基本的な方法です。

しかし、この方法は、評価方法としては複雑、煩瑣であることから、当該建物と同種または同等の材料を使用している事例を探し、その建物の新築費単価をもとに算出する方法も考えられます。これを新築費単価法といいます。

(2)建物新築時における建築価格が判明している場合

新築時点から現在までの価格変動率(建築費倍率)を乗じて再築費を推算する方法もあります。
具体的には、判明している建物新築時における建築価格に建築費倍率を乗じて算出する方法です。これを年次別指数法(または、建築費倍率法)といいます。
ただし、建物新築時における建築価格に含まれているもの、いないものに留意する必要があります。

なお、中古建物購入の場合は、土地価格と建物価格との区別が困難であること、また、仮に分けられたとしても、建物価格は市場性その他の要素で決定されることが多く、建物の本来の価値を必ずしも反映していません。したがって、中古建物では購入価格を参考とせず、より実態に近い上述「(1)新築時点での建築価格が判明していない場合」の考え方で評価することが考えられます。 

(1)減価率の算出


減価率を計算するには、その因子として①推定耐用年数②最終残価率③新築後の経過年数が必となります。


①推定耐用年数
推定耐用年数とは、建物の効用持続可能年数をいいます。


②最終残価率
最終残価率とは、推定耐用年数を経過した時点における新価額(再調達価額)に対する残存価額の割合です。したがって、まず建物の効用持続可能年数を考慮して推定耐用年数を設定し、その設定した推定耐用年数が経過した時点の建物の残存価額がどれほどになるかを考えます。その残存価額の新価額(再調達価額)に対する割合が最終残価率ということになります。「減価償却資産の耐用年数等に関する省令、減価償却資産の残存割合表」によれば10%ですが、これは税法上の目的から用いられるものですので、保険価額の評価を行うにあたっては、原則として、建物全種別を通して最終残価率を20%程度を標準とします。また、維持管理の程度、修理部位および範囲等を当該建物の置かれている立地条件、使用状況に応じて個別に勘案して、最終残価率を判断する必要がありま
す(「(2)残価率の修正」の参照)。

 

③新築後の経過年数
新築後の経過年数とは、新築から評価時点までの経過年数をいいます。
次にこの減価率の計算方法を示します。

経年減価率(1年)=100%一最終残価率(20%)/推定耐用年数

減価率=経年減価率(1年)×経過年数

 

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